The 巣 in はてな

2016年にADHD診断の出た主婦のブログの、はてな版です

AD(H)Dの私が仕事で感じた困難と解決できなかった理由

これまで、私の経験して(辞めて)きた仕事について、いくつか書いてきました。

sonoukeiko.hatenadiary.jp
sonoukeiko.hatenadiary.jp
sonoukeiko.hatenadiary.jp
sonoukeiko.hatenadiary.jp

これらの仕事が向いてたかどうかを書いてきましたが、これはあくまで投薬治療を受けていない状態での話です。コンサータストラテラを服薬した状態で仕事したらどうなるのか、というのは私も気になるところなんですよね。ちょこちょこ他所のブログを読んだりしてますが。

それでも、どうしてもわからないのは、やはり「自分が飲んだらどうなるか」ということ。こればかりは自分で試してみないことにはわかりません。私自身は先日ADDの診断を受けましたけれども、だからといって現状困っているかというと、日々の買い物項目や、子供の幼稚園のPTAの集まり等の日時を忘れることがあったり程度で、生きるのに支障があるかというとそこまで深刻ではありません。(だから、共働きしづらい状況なので高い薬価を払う決心がつかないんですよね……。)

そう、企業勤務であったらおそらく服薬していただろうと思います。色々と面倒がありましたからね。でも、どこまで薬で対応できるのかな? その検討の前提として、過去働いて困ったことを振り返ってみたいと思います。おそらくは、ADDに影響する、あるいはADDの影響で、という点があるかなと思いますが……。

働いていてほとほと困ったこと

転職相談の仕事をしていた頃、転職希望の皆さんが共通して特に気にされていたのは職場の人間関係でした。たしかに人間関係って大事なんですが、仕事で困ったのって、たぶんそれだけじゃなかった気がします。(一応、アスペルガー障害チェックをオンラインでしてみたら、ほぼそうではなかったです。ASDとADDどちらもある方とは、この点ではまたちょっと違うでしょうね。)

長い残業時間で不注意が増す

地味にHPを削っていきMP技を発揮できなくさせるのが、残業続きによる睡眠不足でした。これは日中の電話対応の手際を悪くさせ、元々ない文章構成能力をさらに貧弱にし、夜間の残業の効率をずっと悪くさせ、ついでに客先での会議で睡魔を呼び寄せるという、何とも最悪な障害でした。

睡眠不足はAD(H)Dの不注意を加速させるというのは、書籍やブログでもお馴染みですよね。で、上手くいかないと、上司に注意され、さらに過集中なしで頑張ってしまい効率が落ちて、となって、最終的にはうつ病→休職に至りました。休職後も自分を責めてしまい復帰しきれず、その他要因もあって退職しました。でも、やはり主たる要因は残業でしょうね。

今やっていることの意義を把握しないと集中できない

行動には常に目的が伴っているはずなんです。正社員なのにバイトみたいに闇雲に仕事させられるばかりだと、業務を効率良くこなすための情報収集の方針も立てられません。しかも、守秘義務とかで関連書類にアクセスする手段がないばかりか、業務知識をごく一部の、しかも不在の多い職員しか保有してないとなると、もう詰みました。

「そこを頭下げて時間を作ってもらうとか自分で資料読んで勉強するとかで解決するのが、みんなが通ってる道」とか言われると……。そうやって経験積んできたはずなのに、似たような案件とか抽象化したモデルケースとかを示せる人ってすごく少ないんですよね。何というか、日々の作業に追われて説明したことが過去ない、みたいな。

「お客さんに教わった」と話す先輩社員は多かったですが、これには「プロなのに、せめてある程度のノウハウは築こうよ」と強く疑問を抱きました。毎回一々ゼロベース思考してたら、時間の無駄だし、そのせいで残業時間が延びるんですよね。

こういうのが日々続いてほんと勤労意欲が損なわれました。意欲ないと集中できないです。ほんとに。

気分にムラがあることがバレるし、実際ムラを止められない

「あの人、やる気がある時とそうじゃない時で差が激しすぎるんですよ」と若い同僚のサブリーダーにチーム会議で評されていると、同会議に参加した同年代の別のサブリーダーから私的に伝えられたことがありました。ちょうど転職を考えている頃でしたかね。

気分にムラとか。その通り過ぎて何も言えません。仕事できる年下先輩でしたが、さすが人を見る目がありまくりですよ。

慣れてくると、長期で物を考えるようになるじゃないですか。

「もう今年のノルマ達成したし、この分じゃ来年度は実績をあげようにもストックがないし無理じゃね?」
「もはや中途採用後の真新しさがなくなってルーティーンと化してきた。これ毎日やりつつ残業もして、それでダンナや実家の助けのないまま妊娠・出産・育児? 絶対に無理ですから!」
「なんか遠くの席のアニメ声で電話応対する、あの女の声に無性にイラついてしまって業務に集中できない!」
「これじゃ、とても長く働けないよ!」

とかいうように。

こういうの、単に「飽きた」と一言で簡潔に言い切ってしまうこともできそうですけど、本当にそんなに単純かな、とだいぶ時間の経った今振り返ると思いますね。情緒とか感情よりもおカネのが大事なはずなのに、つまらなくなってしまって、しかもその先に面白いものがありそうと探りさえしない。フツーなら、きっと「いや、もっと深みがあるはず」と知的好奇心に任せてさらに進んでいきそうなのに。

ある意味、この「働けない理由探し」っていう過集中課題が止まらなくなっていたようにも思いますが、まあ、ADDって自覚もなかったし、どうしようもなかったですねぇ。

なぜ困った状態から脱け出せなかったのか?

じゃあ、治療すればよかったじゃん、という話ではありますよね。いま思えば、とりあえずADHDかどうか診断しとけば間に合ったんじゃないかと思えてならない。服薬するかどうかは別として、傾向と対策は見出しやすくなるはずですよね。自助グループを通してピアサポートを受け提供することで、きっと自信や安心も得られたはず。

精神科に苦手意識があった

特殊な事情ではありますが、私は心理職を目指していたので不意な場所に元同級生がいたりするんですよね。しばらく前に住んでいた土地でも認知行動療法のセラピーの良さげな相談所があったのですが、そこにも知人がいましたし。もちろん、そこは配慮してもらえるとは思うんですが、でも、私の素性を多少知っている人がケースカンファレンスで、私を患者として見てる人の話を聞き、それを検討するかもしれないなんて、なんか気持ち悪くて……。

信用してないわけではないんです。守秘義務とかフツー守りますからね。でも、その人のすっごい仲良い人に(現在の私の話を提供しないとしても)「xxさんって今どうしてるか知ってる?」と聞き出そうとしたりするかもしれないじゃないですか。もう、それだけですら耐えられないし、その想像だけでも心理士のいそうなところは行きたくない。

でも、心理士が常駐してなくて、外注というか、通い=非常勤で来てるとか、そこの心理士がスーパーヴァイズ受けてる先生が実は教わった教授たちのだれかかもしれない。なんか嫌じゃないですか?

まあ、そんな事情をブログに書いてる時点で、私の素性は知れてしまいそうにも思うんですが、今はとりあえずどうでもよくなってきてはいます。でも当時、ADDかどうか疑うところにも達しないまま、実家時代から育て上げた鉄壁の自己否定癖のせいで、とても自分の内面を、しかも脆い部分、「弱点」を他人に、まして知人にさらけ出すことはできませんでした。

いや、でも、何とか知り合いがいないことを突き止めて行けばよかったんじゃん? なんて思いますけどね、今は。おカネ払ってるんだから守秘義務当たり前だし、いざとなったら法的手段で制裁加えればいいんですからねぇ。とはいえ、なかなか難しい理由はほかにもありました。

家族の理解がなかった

主として夫ですね。けっこうモラハラ気質だったんですよね、夫は。子供ができて、夫の成育歴がたいそうキツい境遇であったと知って、また夫の気づきもあって徐々に私を対等と見るようになりましたが、それまでの、ちょうど働いている時などは共依存的に土日を一緒に行動していたりしました。内向的な人間なんで、休日は一人になりたいのが本音だったりしたんですけど。あと、仕事の疲れを昼過ぎまで寝て癒すとかね。これも、夫は「そうやってダラダラ寝ているから平日の疲れが逆にうまく抜けないんだ」とか評してくれて。

あと、仕事で困っても、「仕事なんて苦しみながらやり抜くからこそ給与をもらえるんだ」みたいに言われてしまって。もともと「頼まれた仕事を断れない」タイプの夫でしたので、ワーカホリックになってしまおうが責任を持ってやり遂げるほうが大切だ、みたいなスタンスだったんです。(私の心情とか家族計画とかろくに考えてくれてなかったんですよ、確認不足だった自分が愚かすぎて泣けますね。)後に同じような、パワハラ上司の元で苦しむって状態になった時には、同情してくれるのが当然みたいな顔してましたけどね。(さすがに、今はこの件、反省してくれていますが。)

一応、「そもそも夫婦関係が上手くいかないから仕事に影響が出てしまうのでは?」と疑問に思って、あと、夫がアスペルガーなのではないかと思えるほど共感的理解をしてくれなかったので(被虐待児症候群のケースで、発達障害に似たような状態になるらしいとか……本当ならば、まさにそれ)、夫婦カウンセリングに通いかけたりもしたのですが、夫が「こんなのしても意味がない」と降りてしまったのもあって、何となく行かなくなってしまった、ということもありました。

(カウンセラーが文具から何から同一のブランド品で固めた奇妙な感じの人だったというのも、ちょっと引いてしまったのも理由の一つなんですよねー。ま、大学院で訓練してる仲間ですら変わった人いっぱいいましたから、偏見はないつもりですけどね、これでも。でも、その人、なんか変に予防線張ってるというか、鎧でも着こむようにブランドで固めてて不自然な感じだったんですよね。そういうブランド物にまみれた自分が患者からどう見えるかを客観視できないっぽいのと、それを周囲の心理士や医師・看護師等のコワーカーが何も突っ込んでくれずイタイタしく放置されてるっぽいのとが、カウンセラー(一応臨床心理士だったはずですが)の個人的資質への疑問や、クリニック内の連携取れてなさ、信頼関係の浅さへの連想につながりました。)

そんなこんなで、残業時間には平日夜間も休日出勤も含まれているし、まあ、とにかく一人でゆっくりすることも通院することすらもできませんでした。

あと、実家の父に言わせると「負けるな!」ですからね。もう乾いた笑いしか出てこない、今はですけどね。リアルタイムではあまりの理解のなさに死にたさが募りましたねぇ。後に「うつ病の人に負けるなとかどうかしてる」と言ったら「自分に負けるなって意味で言ったんだ」と屁理屈でごまかしてました。幼いころからイジメとかあったのを相談しても「負けるな」「やり返してやれ」の一言だったので、自分に負けるなというより他人に負けるなのほうが、父の本来のメッセージなんです。

何と言うか──「通院は甘え」みたいな? そんな家族にはけっして支えてはもらえませんよね……。

時間がない、おカネがない

上にも書きましたが、残業と家族の理解のなさから、そもそも時間が作れず、また、奨学金の返済もありましたので余分なおカネを使いたくないという気持ちもありました。だって、カウンセリング分が自由診療だとして、それだけで40分5,000円とかかかるとすると月2万ですよ、交通費と診察費抜いて。あと薬も抜いて。無理無理。新卒1社目ですらサービス残業が当然のようなブラック企業(零細ではなかったんですが、社員の文化というか不文律として横行してました)に入ってしまったもので、余裕なんてありませんでした。

思い返すだに自分が不憫ですね……。

もし現代ならどうかな?

私がADDの概念を獲得しきっておらず、また自分にそれを当てはめてみるようなこともなかった当時は、就職氷河期でした。(ロスジェネ世代です。就職活動始めた当時、はてなはあったけど、Twitterはまだなかった? それか英語アカウントしか作ってなかったような。)

自閉症のうちアスペルガーの知識はテンプル・グランディンさんの著作や大学の講義で知ることはできたものの、大学院の講義では発達障害に詳しい先生が在籍しておられなかったこともあり、あまり知る機会はありませんでした。

でも今や、発達障害は当時に比べたら学校相談の場も含め、ブームと言って間違いありません。情報にも格段にアクセスしやすくなり、医師の手がけた著作も多く出版されました。当事者ブログもあるし、何より、当事者との間をさまよっているグレーゾーンの人たちもいるので、「まさに今の自分と同じ状態の人」を見つけるのがたやすいです。

あと一歩、診察を先延ばしせず、おカネを無駄遣いしなければ、ADDの診断まですぐそこです。(現に、このブログ書き始めて思い立って数日で受診しましたし。ま、もちろんそこまでの経緯はあるとはいえ。)

一万円握っていけば、初診料、医師の診察、知能検査(WAIS)、ADHD検査で全部保険診療内なら、おつり来るはずですし。もし心理系の大学・大学院が近くにあって、そこが一般の方々にも心理相談を提供しているようであれば、もしかしたら無料で知能検査してもらえるかもしれませんし(検査実施者は院生とかでも、分析は教授ほかのプロがサポートするはず)。

ま、グレーな診断かもしれないしそうじゃないかもしれないし、でも、とにかく今の状態に何らかの説明がつくのは、本当に「あー、やっぱりッ!」と今までの人生が腑に落ちる感じがあります。で、たぶん、仕事してたら、きっと服薬してたでしょうね。副作用で吐きそうになっても、うつで死にそうになるよりはいくらかマシです。

もしあの頃の、社会人なりたての私が、自分の努力不足でなく自分の特性がたまたま自分の周りの集団にミスマッチしているだけで、あえてその中で生きるのならば服薬すれば何とかなると知っていれば。あるいは、もっと自分の特性にマッチしそうな能力を育て始めることができていれば、そして、このいずれかを10-15年続けて今の年齢に至っていれば、もう少し、社会人としてのキャリアは充実したものになっていたんじゃないかなと思います。

ま、人生の早いうちに充実し始めたってだけですけどね。今だって、今できることの範囲内で頑張っているから、やはりこれを10-15年続けて子供が成人する頃には、私も何かできると自信を持って言えるようになっているかもしれない。いろいろ、希望的観測ですけどね。

まとめ

不注意優勢型ADHD(ADD)でも症状はわりと軽いほうかもしれない私の、仕事で感じた難しさは、表面的にはサビ残と睡眠不足とか、業務への目的意識が満たされるかとか、ルーティーン業務がつまらなくなるとか、なんか極端に意識高い系かパレートの法則の上2割の社員みたいな感じでしたが、どうもやはりADD由来の不注意や過集中に絡んだものが多かったです。

それらを解決できなかった理由は、当時はアクセスしがたかったとはいえ、本当に自分を大切に思っていたなら、自分ひとりで、自分以外の助けがなくても何とかリーチできたはずのことだったかもしれない、と今なら思います。

精神科受診を迷っている方にお伝えしたいのは、「とにかく、人生の早いうちに、何かを試して失敗する回数が少しでも多くなるような早いうちに、発達障害かどうか、あるいはほかの何かなのか、診断してもらい、治療を受けましょうよ」ということに尽きます。

個人的な見解ではありますので、それぞれのみなさんの事情を勘案しての判断がもちろん最善のものであることに間違いはない、ということも遅まきながら書き添えておきます。

いずれにしましても、みなさん、グッドラック。