The 巣 in はてな

2016年にADHD診断の出た主婦のブログの、はてな版です

不注意優勢型ADHD(ADD)と仕事「図書館バイト」

貸し出されて戻ってきた本、借りるまでもなく戻された本をカートに載せて、広い館内をあちこち移動しながら日本十進分類法に従ってあるべき場所に本を戻す。これが、私の大学時代にやっていた図書館バイトの主な業務でした。

図書館バイト

日本十進分類法っていうのは図書館の書籍の分類方法の一つです。背表紙の下のほうに四角いシールが付いてますよね。あれは以下のような法則で数字が振ってあります。

分類記号に「0」から「9」のアラビア数字のみを用い、大まかな分類から細かい分類へと順次10ずつの項目に細分していく「十進分類法」の一つ。たとえば、「文学」は「9xx」→「日本文学」は「91x」→「(日本文学の)小説・物語」は「913」、というように下の桁ほど下位の細かい分類を表現している。日本の図書館において、検索や蔵書管理のための「書誌分類」として、また請求記号として資料を書架に並べる際の「書架分類」として利用されており、排架作業の便宜等のためラベル(通常、背表紙に貼られていることが多い)にも印字される。
日本十進分類法--Wikipedia

図書館の棚の上のほうに400、600、900とか各カテゴリー横に数字が書いてあることが多いですが、あれはこの十進分類法の数字のことです。図書検索かけて出てきたシートに従って探す経験の多い方は、たぶんお気づきでしょうね。凝り性なので、このバイト期間中は家の本も一時期この分類で整理しようとしましたが、安価なシールはすぐ剥がれてしまので自宅での運用は失敗しました。余談。

この仕事のポジティヴな側面

  • 幅広い知識に触れられて、とにかく楽しい
  • 返す場所がパッと見つかるので業務に苦労を感じない
  • ノルマが(ほぼ)ない

貸出・返却や本に透明のカバーを貼り付ける仕事もあったんですが、不思議なもので同時期に入った同級生で、このバイトを紹介してくれた友人はこれをやってたものの、私は声をかけられることはありませんでした。でも、それは幸いでした。何しろ、この本を再配置する仕事、ものすごく楽しかったからです。

精確に言うと、本を再配置するときに「自分がふだん触れないジャンルの本をチラ見できる」のが楽しかったです。私は140番台の本をよく読む学科でしたが、他学科や教養科目のレポート資料として引き合いに出される本は多種多様で、拾い読みしながら面白いと思えるものもたくさんありました。卑怯ではありますが、バイト帰りに自分で借りるために確保したりもしてました。おかげで、環境問題、ピアノの奏法から拷問の歴史まで一般教養にプラスアルファした知識がまんべんなく身につきました。

中学高校時代は学校図書館の所蔵図書がショボく、自治体の図書館はというと車でアクセスしないといけない距離にしかない上、私の母は「図書館に行きたい」と言うと「面倒だし駐車場が空いてないからいや」と半年に一度くらいしか車を出してくれないし交通費も出してくれないしで、知識に飢えてたのかもしれません。(あと、私の母は、私に成功を強いるくせに私の成功を阻害しようとしてましたね。これはまた別に考察しないと。毒親ってブログラベルも作るべきかな。)

そんな知識をつける時間なんてあるのか、って疑問が当然わくと思います。製造販売のバイトも午前中は暇でランチ前後と夕方多忙って波がありましたが、図書館バイトもわりとその日の利用者の入り具合や利用量によって業務負荷が変わります。とくに試験期間やレポート提出のある学期末とかは変な場所に山積みで放置されてる本を発見することがよくありましたね。そういう日はあまり読み込むことはできません。

でも、ちょっと楽な日、学期の真ん中くらいの、荷物の多くなる雨の日とかですね、そういう日は大変読書日和でした(笑)。

たぶんこれはADHDやADDの人共通じゃないかなと思うんですが、あっちこっちパッと見ながら必要な情報探すのって得意じゃないですか? 少なくとも私はそうで、例えば上に挙げた十進分類法の応用なのか「141.2 ア」とかなってても入るべき場所が目に飛び込んできましたし、おかしい場所に紛れ込んだ1冊もパッと目に入ってきました。狩猟民のカラダなんですかねぇ。とにかく向いてましたね。

この仕事のネガティヴな側面

  • 時給が安い
  • つぶしの効く(他職種に生かせる)スキルが伸ばせない

週3日くらいかな、でも最低賃金にちょっと色がついた程度で、たぶんコールセンターでアルバイトしていた友人の半分にも満たないような額でした。同じサークルの他大学の人にバイト月額を言ったら、「物理と数学を受験生に教えてるけど、それ、時給だわ」と失笑されたこともあるくらい安くて。(安い)専門書2冊買ったら吹き飛ぶ金額ですからね……。

それでも辞めるのは惜しくて。大好きなピアノで澄んだ音が出せるようになったのは後年ピアニストにピアノを習うようになっても褒めてもらえたし、何しろ、バイト中に他のアルバイターや学生、職員にバレないように、通路に一人になっている瞬間に本をスキミングするという速読技術がさらに向上したのは、本当に私の人生に多少なりともプラスであったかと思います。

とはいえ、仮にこの仕事の後に転職するとして、例えば企業でよく求められるような協調性・リーダーシップ・粘り強さ・精確性・責任感・数字への強さ…etcを上手く語れるようなエピソードを経験できるかというと、ちょっと難しいかもしれません。つまりは、身につくスキルが限定されている。少数派に向いている業務ってのは多数派ウケしないんですかね……。

まとめ

また図書館の仕事をするとして、アルバイト程度の収入でノルマなくて頑張らないでいいなら、ずっとこの仕事したい、というくらいには大好きです。

でも現代は図書館の仕事ってほとんどないですよね? 図書館司書資格学んでも派遣社員(つまりは期間限定、おそらくは長くても3年未満)がせいぜいで、正職員の道はかなり狭い。出版業界の規模は縮小しているし、大学はともかく自治体の図書館などは民間企業が経営するようになってもきて、なおさら人件費が削られるでしょう。

まして、私は転勤族の妻で子持ちですからね。一応経験はあっても若い人が優先されるだろう(し、そもそも志望動機が不純じゃ無理だ)し、今後は難しい。おすすめもしがたい感じがします。

ただ、これに似たような「必要な物を探してくる」という業務内容、他職種にもありそうですよね。バイヤーとか。ネット上でもブロガーとか、キュレーターとか? 個人的には、この辺に私なりの「向いた職種」って疑問への答えがあるかなぁという気がしています。

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